【プロ介護福祉士】シーン別:排便介助の手順&タブー
介護経験3年以下の人
「排便介助ってこれでいいのかな?」
「利用者さんは安心できてるのかな?」
こういった疑問に答えます。
本記事の内容
この記事を書いている僕は
介護職12年のデイサービスセンター主任。
高齢者ケア研究会の理事でもあります。
そんな僕が2023年版として
解説します。
排便介助の基本ステップ(新人向け)
状態の確認
①本人、周囲が気づいているかどうか
②本人は体調が悪そうかどう
③別室やトイレで、パンツ内をチェック
準備
①処理場所を決める
②使うものを準備
処理手順
①汚れが広がらないように脱がせる
・本人の手はてすりなどに掴まってもらう
②汚れた衣類や紙パンツは新聞の上に
・本人の視野に入らない場所に置く
③便を拭う
・陰部→肛門部の順番で洗う
④体温に近いお湯で洗い流す
⑤衣類の処理
・紙パンツ、テープオムツ、尿取りパットは
新聞紙に包んで捨てる。(消臭効果あり)
・便はトイレで流せるとよい。
異臭抑制のため。
ゴミ捨て担当スタッフや収集車スタッフのため。
・衣類の汚れを湯水で流す
・色が沈着している白い下着
→塩素系漂白剤で消毒、漂白
・ピンクやベージュの下着や
ズボン、上に着る服
→酸素系漂白剤で消毒(色落ちしない)
⑥報告・記録
・スタッフに報告し共有します。
本人の体調把握のためです。
・申し送りノートや連絡帳に記録します。
家族が本人の体調を把握するためです。
・本人が連絡帳を見る場合
①書き方を工夫する(別記事「連絡帳のコメントの書き方」参照)。
②電話で家族に報告。
③送迎時に家族に報告。
【シーン別】処理方法とプライバシーの配慮方法
デイルーム
(処理方法)
①トイレか脱衣所に移動します
(プライバシー配慮方法)
①匂いに気づく。
②周囲に気づいている人がいるか確認。
③周囲の人の関心が向かないように、移動。
④「◯◯さん、ちょっとこれ助けてくれませんか。」
と全然関係のない話をしながら移動。
⑤「おなかの調子に気付けなくてすみません。」
「少し、お手伝いさせてください。」
と優しくゆったりとお願いする。
⑥介助中は
「朝からしんどかったですか?」
「最近、足腰の調子はどうですか?」
などの話で気を紛らわせる。
トイレ
(処理方法)
①
(プライバシー配慮方法)
入浴
(処理方法)
(プライバシー配慮方法)
ベッド
(処理方法)
①体調確認
②ズボン、下着の隙間から状態確認
③汚れていない衣類を脱がす
④体を左右どちらかに寝返りを打たせ、
新聞と大きいパットを腰の下に敷く。
⑤ウエス等で汚れを拭い、陰部洗浄ボトルで洗う。
⑥汚物は新聞紙に包んで防臭。
周囲の人に見えないようにビニール袋に入れて処理。
※紙袋が望ましい。
(プライバシー配慮方法)
- パーテーションで一目を遮る。
- 臭いが外に流れるように喚起。
- 周囲の人に準備物を見られないように隠す。
- 手が空いてるスタッフが、周囲の意識を逸らす。
【タブー】やってはいけない排便介助5選
①他の利用者の視線が集まっている。
スタッフのいつもと違う動きに、周囲の視線は集まります。
介助中はどの利用者のことかわからなくても、
介助後に
「あ、◯◯さんや。きっと便とってんで。」
と言われてしまいます。
これでは◯◯さんの尊厳を傷つけてしまいます。
手の空いているスタッフが
周囲の利用者の意識を逸らす工夫が必要です。
②スタッフが連携する際、言葉が利用者にも伝わっている。
デイサービスのような集団生活の環境では
他の利用者に聞こえないように配慮しましょう。
たとえば
「陰洗ボトルと新聞もってきて!」
「パットとリハパン(リハビリパンツ)は!?」
といった感じです。
入社間もない頃、
先輩たちはこんな感じでした。
今では考えられないことで、
虐待防止研修やヒヤリハットの1事例として扱っています。
③介助を受けている人が、恥ずかしく辛い気持ちになる言葉づかい。
介助を受けている本人の気持ちを考えましょう。
そのためには「お手伝いさせてください。」という
気持ちが重要です。
ベテラン介護士には
「世話してやってる感」を出す人、多いです。
気をつけてほしい例として
「あ〜下痢やなあ、シャツまで汚れてるわ。」
「うわ!またか〜。」
あなたがもし、腹痛で倒れたとします。
救急隊の人にこんなことを言われたらどうでしょうか。
④スタッフが慌ただしくしている。
早急に排便処理しないといけないのですが、
バタバタ動くと周囲の視線を集めることになります。
周囲ではこんな状況になると想定されます。
・「スタッフさん、大変そう。
あ、◯◯さんに何かあったな。
新聞とパット持ってたっていうことは…」
・「うわ、急に走って通るからびっくりした。
こけるかと思った、怖かった〜。」
・「痛っ!あっち見とったらハサミで切ってしもた。」
命の危険があるほどの緊急性ならともかく
「排泄」は誰もが毎日行うものです。
食事、運動、睡眠、排泄。
当たり前のことなので
自然体で介助を行いましょう。
⑤連絡帳に排便があったことをそのまま書く。
「14時にパット内にて軟便中量ありました。
ズボンに少量の付着があったので、
予備に履き替えています」
といったコメントを記入することがあると思います。
利用者本人が連絡帳を見ない場合は
これで大丈夫です。
ご家族が排便状況を把握し、
夕食やお薬の調整ができるので。
ただし
本人が見る場合は、こんな記入はNGです。
「恥ずかしいことをしてしまった」
と自信喪失につながります。
こういった場合には
「お腹がすっきりしないようですね。
お大事になさってください。」
などがオススメです。
本人の自尊心を守ることができ、
ご家族にもやんわり気にしてもらうことができます。